血圧測定を受ける20〜30%に観察される白衣高血圧の解決が課題

血圧は測定機器、環境、体位、時間、年齢等などによって変動幅が大きいため、健診時の1回の測定で高血圧や低血圧に対して正しい診断を下すことはかなり困難となります。

測定を受けるサラリーマン

医療機器の進歩にしたがい血圧計もさまざまなタイプが登場していますが、世界標準とされているのは、上腕部にマンシェットを巻いて測定する水銀血圧計か、アネロイド血圧計です。

このほか比較的正確に24時間の血圧変動を測定できる携帯型自動血圧計、手首や指などで簡単に測定できる電子工学を応用したものもあります。

従来、健診で推奨されてきたのは、水銀血圧計かアネロイド血圧計でしたが、水銀汚染の問題の影響があり水銀血圧計の入手が難しい状況になっています。現在ではアネロイド血圧計や電子工学応用による血圧計が採用されやすい傾向にあります。

携帯型自動血圧計による24時間の血圧平均値は、信頼性が比較的高く、高血圧に基づく臓器障害度との相関が明らかになっていますが、通常の健診には使用されていません。

測定器とともに重要なのが、即定時の環境や体位です。静かな環境下で、座位にて5分程度の安静を保ってから測定を行います。時間に余裕があれば3回測定を行い、測定値が近い2つの平均値を採用するのがベストですが、これらの条件を守れば1回の測定でも信頼度の高い測定値を得ることができます。

健診の血圧測定で問題になるのは、健診での血圧の数値が家庭での数値よりも大きくなる「白衣高血圧」で、健診受診者の20〜30%に認められるといわれています。測定時に、被検者が動悸で震えたり、心拍数が増加したり、動作が落ち着かないなどの動作があれば発見は用意ですが、他に所見が全くないことも少なくありません。これとは逆に、健診時には血圧は正常なのに、家庭では高血圧となる「仮面高血圧」があります。

現在、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の場合に高血圧と判定されます。低血圧にはこのような分類表はありませんが、通常は収縮期血圧が100mmHg未満のときに低血圧とされています。

再検査でも再び高血圧となった場合は、その原因は何か、また高血圧による全身の臓器障害がどの程度なのかを知る必要があります。そのためには、検尿、血液性化学検査、レニンやアルドステロンなどのホルモン検査、眼底検査、胸部X線検査、心電図や心エコーなどが第一次検査として実施されます。