血糖、ブドウ糖負荷試験、HbA1cの数値が意味するもの

体を動かしたり、脳が活動する際に必要なエネルギー源であるブドウ糖の血中濃度が「血糖値」です。食物で経口摂取した炭水化物は唾液の働きなどによって分解されてブドウ糖になり、小腸から吸収されて肝臓に運ばれます。そして、血流によって肝臓から全身の細胞へと運搬されます。血液中のブドウ糖は、細胞に取り込まれた後に代謝されてエネルギー源となります。

糖尿病は合併症が怖い

血糖値は、ホルモンの働きによってほぼ一定の値に保たれています。血糖値を上げるホルモンは複数ありますが、提げる働きがあるのは膵臓から分泌されるインスリンだけです。そのためインスリンの不足、あるいは細胞が糖を取り込めないないなどの状態に陥ると、高血糖になります。これが「糖尿病」です。

糖尿病になると、血管壁が脆くなり、脳卒中や心臓病などのリスクが高まります。目の網膜の血管が障害されると(糖尿病網膜症)、視力が低下し、最悪の場合失明に至ります。腎臓の血管が障害されると(糖尿病腎症)、人工透析が必要になる場合があります。このように全身にさまざまな合併症を引き起こすのが糖尿病が怖い病気とされる所以です。

血糖値の検査は、採血によって血中のブドウ糖の濃度を測定します。血糖値は食事に追って数値が左右されやすいため、絶食状態を10時間以上保ってから採決を行います。こうして測定された血糖値は「空腹時血糖値」といいます。

それ以外のタイミングで測定したものは「随時血糖値」といい、140mg/dl未満が基準とされ、200mg/dl以上だと糖尿病の可能性が強くなります。空腹時血糖値が100〜109mg/dlの時は正常高値と診断されます。一応、「正常」という言葉が入っていますが、この範囲の人は将来の糖尿病の発症リスクがが高いため、食生活や適度な運動など、生活習慣の改善に取り組む必要があります。

糖尿病は、インスリンが分泌されないで発症する1型糖尿病と、主に成人が発症する2型糖尿病がありますが、血糖値の検査はどちらのタイプの診断にも欠かせません。また、ほかの病気を原因とする高血糖、インスリノーマなど低血糖状態になる病気の診断に際しても実施されます。

血糖値を測定し、糖尿病の疑いが強まったならば、糖代謝に異常がないかを調べる「ブドウ糖負荷試験(GTT)」が行われます。検査前日から10時間以上の絶食状態を保ち、当日の朝に採決を行い、最初に空腹時血糖値を測定します。続いて、75gのブドウ糖の溶液を飲み、2時間経った後に採血をして血糖値を調べます。これにより糖の処理能力が分かります。空腹時血糖値が126mg/dl以上、もしくは2時間値が200mg/dl以上で糖尿病型と診断されます。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、赤血球中のヘモグロビンがブドウ糖と結合してできたグリコヘモグロビンの一種で、血糖値が高いほど量が多くなります。ヘモグロビンA1cが作られた割合は、過去数か月の血糖値の平均と相関関係にあるため、糖尿病患者の血糖コントロールの状態を把握するための指標として活用されています。健診では、検査数値が6.0%以上で糖尿病の疑いが高まり、二次検査が必要となりますので、必ず医療機関を受診しましょう。

グリコアルブミンは、肝臓で作られるアルブミンにブドウ糖が結合してできたもので、グリコアルブミンも血糖値が高いほどその割合が高くなります。アルブミンはヘモグロビンよりも体内での寿命が短いため、過去1〜2週間の血糖値の平均を把握するために活用されています。